メスカルについて

土窯で焼いたアガベが生む、スモーキーな香り
メキシコ伝統の手仕事のお酒『メスカル』

メスカル(Mezcal)は、アガベ(リュウゼツラン)を原料とするメキシコ特産の蒸留酒です。 産地や品種によって味わいは大きく変わり、同じお酒とは思えないほどの幅があります。 その幅こそが、メスカルの面白さです。

メスカルとは?

メスカルとは、アガベを原料に、メキシコの原産地呼称で認められた地域で造られる蒸留酒です。オアハカ州を中心とする指定地域で生産され、土窯で焼いたアガベが生むスモーキーな香りで知られています。アルコール度数は35〜55%の範囲で定められており、テキーラよりやや高めの45%前後で瓶詰めされる製品も多くあります。

メスカルの発祥と歴史

「メスカル(Mezcal)」の語源は、ナワトル語でアガベを指す metl と、加熱・調理を表す ixcalli に由来し、「加熱されたアガベ」を意味するとされています。土窯でアガベを焼くその製法は、名前の時代からほとんど変わっていません。

アガベは、メキシコの人々によって古くから食料や繊維、飲料などに利用されてきました。その後、蒸留の技術が伝わり、現在につながるアガベ蒸留酒が造られるようになります。一般には、16世紀にスペイン人が銅の蒸留器を持ち込んだことがきっかけとされていますが、伝来の経路には諸説あります。

二つのメスカル

「メスカル」という言葉は、二つの意味で使われています。

総称
アガベから造る蒸留酒すべてを指す、古い使い方。植民地期の文書に「ビノ・メスカル(vino mezcal)」として現れます。テキーラも、20世紀の初めごろまでこの名で呼ばれていました
原産地呼称
産地と結びついた名前を守る仕組みで、メスカルは1994年に保護されました。決められた州の中で、規格に従って造り、認証を受けたものだけが名乗れます。区域の外では、同じ造り方をしても名乗れません

「テキーラはメスカルの一種」と言われることがあります。「総称」の意味では正しく、「原産地呼称」の意味では誤りです。テキーラは1974年に、メスカルより先にこの保護を受けています。二つは別々の呼称で、テキーラが「原産地呼称」のメスカルとして認証されることはありません。

「総称」だった言葉が、あるとき保護された名前に変わった。その切り替わりが説明されないまま二つの使い方が残っているために、混乱が生まれています。このページで「メスカル」と書くときは、断りがなければ「原産地呼称」の意味で使います。

原料となるアガベ

テキーラがブルーアガベだけで造られるのに対し、メスカルにはさまざまな品種が使われます。アガベは世界に200種ほどあり、その半分以上がメキシコにしかありません。メスカルに用いられるのは、そのうち30〜50種ほどとされます。

品種が変われば、味わいも大きく変わります。ここがメスカルを選ぶ楽しみです。

品種は大きく2つに分けられます。ひとつは畑で栽培されるもの、もうひとつは山や岩場に自生する野生種です。野生種は育つまでに長い年数がかかり、収穫できる量も限られるため、そのぶん価格は高くなります。

エスパディンAgave angustifolia 畑で栽培される品種。収穫まで6〜8年と短く、メスカルの大半を占めます。スモークとアガベの甘みが素直に出ます
バリルAgave karwinskii 野生に近い品種。ほのかな甘みと、丸みのある口当たり
マードレクイシェAgave karwinskii 柱のように育つ品種。ミネラルを思わせる、すっきりとした後味
トバシーチェAgave karwinskii 細長い姿の品種。ハーブのような青い香りが特徴
テペシュタテAgave marmorata 岩場に自生する品種。野生株では収穫まで25〜35年とされます。青々しく複雑な香り
アロケーニョAgave americana 大型の品種。土を思わせる重厚な味わい
メヒカーノAgave rhodacantha 甘みと青い香りが同居する品種。収穫まで12〜15年ほど

※味わいは造り手や産地によっても変わります。複数の品種を組み合わせて造られるものは、エンサンブレ(Ensamble)と呼ばれます。

※成熟までの年数は、栽培か自生か、地域や育て方によって大きく変わります。バリル、マードレクイシェ、トバシーチェは同じカルウィンスキー系のアガベで、姿による現地の呼び分けです。

「マゲイ」とも呼ばれます

スペイン語圏では、アガベをマゲイ(maguey)とも呼びます。カリブの先住民の言葉に由来するとされ、メキシコでは古くから広く使われてきた呼び名です。

メスカルのラベルや商品説明で「マゲイ」とあれば、アガベのことです。このページの商品紹介にも「5種のマゲイ」といった表記が出てきます。

原産地呼称と産地

原産地呼称の保護を受けたのち、製法や表示を定めるメキシコ公式規格(NOM-070)が整えられました。現在は2016年版が使われています。

対象となる産地は、州全域が認められているオアハカ州など5州と、一部の自治体が認められている8州の、あわせて13州です(2026年8月時点)。産地ごとに風味と味わいが異なり、その土地の個性が色濃く出ます。

アグアスカリエンテス Baja California Baja California Sur Campeche Chihuahua Chiapas Coahuila Colima Distrito Federal ドゥランゴ ゲレロ グアナファト Hidalgo ハリスコ メヒコ ミチョアカン モレロス ナヤリット Nuevo León オアハカ プエブラ Querétaro Quintana Roo シナロア サン・ルイス・ポトシ Sonora Tabasco タマウリパス Tlaxcala Veracruz Yucatán サカテカス オアハカ ゲレロ ドゥランゴ サカテカス サン・ルイス・ポトシ シナロア タマウリパス グアナファト ミチョアカン プエブラ アグアスカリエンテス メヒコ モレロス 州全域が対象:オアハカ、ゲレロ、サン・ルイス・ポトシ、サカテカス、ドゥランゴ 一部の自治体が対象:グアナファト、ミチョアカン、タマウリパス、プエブラ、 アグアスカリエンテス、シナロア、メヒコ、モレロス

地図データ: Natural Earth

※指定地域は官報によって追加・変更されるため、最新の範囲はメキシコ産業財産庁(IMPI)の公表資料をご確認ください。

造り方による3つのカテゴリー

公式規格は、どこまで機械を使ってよいかによって、メスカルを3つのカテゴリーに分けています。メスカルとして販売するには、規格に沿っているかの検査を受け、認証されなければなりません。

紛らわしいのですが、もっとも規定がゆるやかなカテゴリーの名前は「メスカル」そのものです。つまりラベルに何も付かず「Mezcal」とだけ書かれていれば、それが1つ目のカテゴリーにあたります。

メスカルMezcal 圧力窯(オートクレーブ)や連続式の蒸留設備など、工業的な機械の使用が認められます
アルテサナルArtesanal 土窯または石窯で焼き、石臼や木槌で砕き、木桶などで発酵させ、銅または土器の単式蒸留器で蒸留します
アンセストラルAncestral もっとも古い造り方。土窯で焼き、臼で砕き、土器の蒸留器のみを用います。生産量はごくわずかです

※カテゴリーは造り方による分け方で、ホーベンやレポサドといった熟成による分け方とは別のものです。認証を受けた製品はラベルに表示されますが、裏面や首元に小さく記されることが多く、正面からは読み取れない場合もあります。

グサノとペチューガ

メスカルには、香りをつけるために材料を加えて造るものがあります。もっともよく知られているのが、グサノを使ったものとペチューガです。グサノは瓶に幼虫を入れた姿で流通することが多く、メスカルを象徴する一本として知られます。ペチューガは、仕上げの蒸留のときに七面鳥や鶏の胸肉を蒸留器の中に吊るし、果物とともに蒸留したものです。

公式規格は、こうしたメスカルを、材料を加えるタイミングによって2つに区分しています。

材料を加えたものAbocado con 香りをつけるために材料を直接加えたもの。条文にはグサノ(アガベに棲む蛾の幼虫)のほか、ダミアナ(ハーブ)、ライム、蜂蜜、オレンジ、マンゴーなどが例として挙げられています
材料とともに蒸留したものDestilado con 香りをつけるために、材料を入れたまま蒸留したもの。条文には鶏、プラム、チェリーなどが例として挙げられています

当店で扱う「シナイ ホーベン ブランコ(ワーム入り)」は、グサノを瓶に封入したものです。一方「シナイ ホーベン チポトレ」は、仕込みの段階でチポトレ(燻製にしたハラペーニョ)を加えて造られており、材料とともに蒸留する区分にあたります。

ペチューガも、同じシナイの蒸留所が造っています。2度目の蒸留のときに七面鳥を吊るし、オレンジとともに蒸留するもので、祭りや祝いごとのために仕込まれます。生産量はごくわずかで、日本メスカルテキーラ協会の公式ショップでお求めいただけます。

テキーラとはまた違った、古典的な造り方が今も続いています。メスカルができるまででは、オアハカの蒸留所を例に、畑での収穫から瓶詰めまでの工程を紹介しています。

メスカルとテキーラの違い

どちらもアガベから造られる蒸留酒ですが、使う品種、産地、そして加熱の方法が異なります。メスカル特有のスモーキーな香りは、この加熱方法の違いから生まれます。

  テキーラ メスカル
原料 ブルーアガベのみ エスパディンやテペシュタテなど多くの品種
主な産地 ハリスコ州を中心とする5州 オアハカ州を中心とする13州
加熱方法 石窯や圧力窯で蒸す 地中の土窯で、薪と焼石を使って蒸し焼きにする
風味の傾向 アガベの甘さと、樽由来の香り 土窯由来のスモーキーな香り
公式規格 NOM-006 NOM-070

※加熱方法は、メスカルについては伝統的な造りの場合です。産地はいずれも原産地呼称の対象となる州で、それぞれ別の規格で定められています。

テキーラも昔は「メスカル」と呼ばれていた

テキーラ村の周辺で造られていたものが産地名で呼ばれるようになり、やがて独自の位置づけができあがりました。呼び名が縮まっていった経緯は、テキーラの名前の由来で紹介しています。

ただし、テキーラ村がメスカルの産地として古いわけではありません。記録の上では、アバロス地方で1616年、シエラ・デル・ナヤル地方で1621年に生産が確認されています。これに対しテキーラ地方でアガベの栽培が記録に現れるのは1727年、蒸留器が現れるのは1756年です。100年以上あとから加わった産地でした。

※ブルーアガベが使われるようになったのは、18世紀に入ってからとされます。

テキーラはその後さまざまに近代化され、世界中の市場に受け入れられていきます。一方でメスカルは、オアハカをはじめとする各地で、古くからの造り方が受け継がれてきました。近代化の道を進んだテキーラと、手仕事を守り続けたメスカル。冒頭の表にある違いの多くは、この分かれ道から生まれています。

パレンケという仕事場

メスカル造りは、家族単位で受け継がれてきた仕事です。自分たちの畑を持ち、収穫から蒸留までを一貫して行う小さな作業場が各地に点在します。オアハカでは、これをパレンケと呼びます。

日本でいえば酒蔵にあたる存在ですが、建物というより、土窯や石臼が並ぶ屋外の仕事場です。

メスカルができるまで

造り方は蒸留所によって異なります。ここでは、当店で扱うメスカル「シナイ」の蒸留所を例に、畑での収穫から瓶詰めまでの工程を紹介します。

オアハカで1942年から続く家族経営の蒸留所です。大量生産に走らず、昔ながらの造り方を守り続けてきました。機械に頼らない造りが、どれほどの手間の積み重ねなのかが見えてきます。

01アガベの収穫と選別

自社の畑で育てたアガベだけを選別して使用しています。よいメスカルを造るには、日々の農作業も欠かせません。

収穫は、糖度が高くなる乾季の暑い時期がよいとされています。ただしそれ以外の時期でも、発酵の工程に合わせて収穫を行います。

葉を落として株の中心部(ピニャ)だけを取り出すこの作業自体は、テキーラと大きく変わりません。職人の技については、ヒマドールという職人でくわしく紹介しています。

  • 山あいに広がる自社のアガベ畑

    自社の畑です。山あいの斜面でアガベを育てます。

  • 葉を落としはじめたアガベと職人

    収穫どきの株を見極め、外側の葉から落としていきます。

  • 葉を落として現れたアガベの芯(ピニャ)

    葉を落とすと、中心の芯(ピニャ)が姿を現します。

  • 根を切って株を切り離す職人

    根を切り、株を畑から切り離します。

  • 形を整えられたピニャと切り落とされた葉

    形を整えたピニャです。周りには落とした葉が積み重なります。

  • 集められた多数のピニャ

    集められたピニャ。この状態で窯へ運ばれます。

02アガベを蒸す

そもそもアガベを加熱するのは、糖分がそのままでは発酵に使えない形で蓄えられているためです。熱を加えて分解することで、はじめて酵母が働く糖に変わります。

もっとも伝統的な造りでは、地面に掘った穴でアガベを焼きます。円錐形の穴の底で薪を燃やして石を焼き、その上にアガベを積んで土をかぶせ、3日間かけて蒸し焼きにします。火が消えたあとも石は熱を持ち続け、アガベ自身の水分と、下に敷いた湿った繊維から立ちのぼる蒸気で、ゆっくりと火が通ります。土をかぶせるのは、この熱と蒸気を逃さないためです。

テキーラも古くは同じように地中の窯を使っていました。しかし現在は、レンガや石を積んだ窯、あるいは圧力窯で蒸すのが主流です。いずれも蒸気で加熱する設備で、アガベが直接火や煙に触れることはありません。

違いを分けているのは、窯の形ではなく直火か蒸気かです。土窯では、薪の煙と焼けた石の香りがアガベに移ります。

ここがテキーラとの分かれ道です。メスカル特有のスモーキーな風味は、この工程で生まれます。

※メスカルがすべて土窯というわけではありません。アルテサナルでは石を積んだ窯も認められており、工業的に造られるものでは圧力窯も使われます。スモーキーな香りの強さは、この違いによって変わります。

  • 半分に切ったアガベ

    アガベを半分または1/4にカットします。

  • 穴の底に薪を置き石を並べたところ

    底に薪を置き、その上に石を並べます。薪を燃やして石を焼きます。

  • 湿った絞りカスの上にアガベを積む

    焼けた石に直接触れないよう、湿った絞りカスを敷いてからアガベを積みます。

  • 煙の上がる土窯に積み上げられたアガベ

    穴からあふれるほど高く積み上げます。下からはすでに煙が上がっています。

  • 麻袋と土で封をした土窯

    麻袋をかぶせ、その上から土をかけて封をし、3日間蒸します。

  • 蒸し上がって飴色になったアガベ

    3日後、封を解いたところです。青かったアガベは飴色に変わり、甘い香りが立ちます。

03蒸したアガベを挽く

蒸し上がったアガベは、糖分をたっぷり含んだ繊維の塊です。これをまずマチェーテ(山刀)で割り、タオナと呼ばれる石臼で挽いてつぶします。石臼を回すのは馬の仕事です。

テキーラでは機械で搾り、水をかけて糖分を洗い出し、繊維を取り除くのが一般的です。この蒸留所では、挽いた繊維をそのまま次の工程へ送ります。この繊維が、発酵と蒸留を通じて香りのもとになります。

  • 石臼を引く馬

    タオナと呼ばれる石臼です。円い石を馬が引いて回します。

  • 石臼に沿ってアガベを並べる

    石が通る道に沿ってアガベを並べます。これを何度も繰り返します。

  • 休ませながら石臼を引く馬

    馬にとっても重労働です。休ませながら作業を進めます。

  • 人と馬で石臼を回しはじめるところ

    重い石臼は、馬の力だけでは動き出しません。人が押して回しはじめます。

  • 挽いた繊維を木桶へ移す

    挽いて細かくした繊維は手前の木桶に入れていきます。

  • 石臼で挽く作業の様子

    一回の作業に約3時間を要します。

04挽いたアガベの発酵

挽いた繊維を木桶に入れ、水を加えて発酵させます。酵母は加えません。空気中や木桶、繊維そのものに棲みついた野生の酵母が働き、数日のうちに発酵が始まります。

使う酵母を選ばないぶん、その土地や季節の影響がそのまま味に出ます。同じ蒸留所でも、桶ごとに仕上がりが変わります。

木桶に蓋はしません。空気に触れたまま置いておくので、酵母を運んでくるのは、その場の空気であり、長年使い込まれた木桶です。何が関わるかを細かく決めないことが、その土地らしさにつながっています。

※発酵を終えた中身は、このあと蒸留器で加熱されます。取り出されるのは、そこから立ちのぼった蒸気を冷やした液体だけです。

  • 木桶に入れられた繊維

    木桶の7割ほどまで入れます。発酵すると泡で膨らむため、余裕を残します。

  • 木桶に水を加える

    水を加えます。繊維に残った糖分を溶かし出すためです。

  • 繊維をほぐして水と馴染ませる

    繊維をほぐして馴染ませます。

  • 発酵が始まった木桶

    数日で発酵が始まり、表面が泡立ってきます。

  • 発酵中の液を取り出して確認する

    途中で状態を確認するため、発酵中の液を取り出します。現地ではテパチェと呼ばれます。

  • 発酵を終えた木桶

    15日ほどで発酵が完了します。日数は季節によって変わります。

05蒸留

銅の蒸留器を使って、2回の蒸留を行います。一回目でアルコール度数は25%ほど、二回目で最高60%まで上がります。

蒸留は、アルコールを作る工程ではありません。発酵でできたアルコールを集めて濃くする工程です。留出液は、時間とともにアルコール度数も香りの成分も変わっていきます。最初に出てくる部分と最後に出てくる部分を分け、中間部分を取り出します。この中間部分をクエルポ(cuerpo=体)と呼びます。

どこで切り替えるかは造り手の判断で、その見極めが味わいを大きく左右します。

ここにもテキーラとの違いがあります。シナイでは、発酵させたアガベの繊維も一緒に蒸留器へ入れます。繊維に残った香りの成分まで引き出すためです。テキーラでは、繊維を取り除いた液体を蒸留する製法が一般的です。蒸留器も、銅のほかに土器を使う造り手がいます。

発酵を終えた時点 5〜8%ほど。ビールと同じくらいの度数です
一回目の蒸留 25%ほど。焼酎と同じくらいです
二回目の蒸留 最高60%。加水前のウイスキー原酒と同じくらいの強さです
瓶詰め 製品に合わせて度数を調整します
  • 銅の蒸留器に発酵させた中身を入れる

    発酵を終えた木桶の中身を、繊維ごと蒸留器へ移します。

  • 蒸留器から流れ出るメスカル

    蒸留器から流れ出てきたところです。メスカルの誕生です。

  • 器の表面にできたペルラ(泡)

    器に受けた液の表面にできる泡です。ペルラ(perla=真珠)と呼ばれ、その大きさと消え方で度数を見分けます。

  • ベネンシアで液を落として泡を作る職人

    泡(ペルラ)は、ベネンシアと呼ばれる細い管で液を吸い上げ、器に落として作ります。昔から続くやり方です。

  • アルコールメーターで度数を測る

    アルコールメーターも使います。液に浮かべ、どこまで沈むかで度数を読み取る道具です。

  • 瓶詰めされたメスカル

    自社で瓶詰めして、ホーベン(Joven)の完成です。樽で寝かせない、蒸留したままのメスカルを指します。

06熟成

蒸留を終えたメスカルは、そのまま瓶詰めするものと、樽で寝かせるものに分かれます。寝かせる場合は、地下の貯蔵庫に木樽を並べ、番号を振って管理します。地下は一年を通して温度が安定しているため、熟成はおだやかに進みます。

樽で過ごした期間によって、呼び名が変わります。テキーラと同じ言葉を使いますが、規格はそれぞれ別に定められています。

ホーベンJoven 樽で寝かせず、蒸留したまま瓶詰めしたもの。アガベと土窯の香りがそのまま残ります
レポサドReposado 樽で2ヶ月から12ヶ月のあいだ寝かせたもの。角がとれ、まろやかになります
アネホAñejo 樽で12ヶ月を超えて寝かせたもの。1,000リットル未満の樽を用います

※このほか、ガラス容器で12ヶ月を超えて寝かせるマドゥラード・エン・ビドリオという区分もあります。テキーラの区分についてはテキーラの種類と選び方をご覧ください。

当店で扱う「シナイ ホーベン ブランコ」はホーベン、7年の樽熟成を経た「シナイ レゼルヴァ・エスペシアル」はアネホにあたります。同じ蒸留所の同じ造りでも、樽で過ごした時間の長さで表情が変わります。

  • 樽が並ぶ地下の貯蔵庫

    地下の貯蔵庫。番号を振った樽で寝かせます。

メスカルの楽しみ方

メスカル シナイ レゼルヴァ・エスペシアルのボトル

まずはストレートで

メスカルは、冷やさず常温のまま、少しずつ口に含むのが基本です。土窯由来のスモークやアガベの香りを、もっともよく感じられる飲み方です。小さなグラスに注ぎ、時間をかけて味わってください。

もちろん、ハイボールやお湯割りでも楽しめます。炭酸の泡や湯気とともに香りが立ち、ストレートとはまた違った表情を見せます。度数の高いタイプほど、割っても持ち味が残ります。

オレンジと塩を添えて

メスカルに添えられるのは、ライムではなくオレンジです。くし切りにしたオレンジに塩をつけ、ひと口飲んだあとにかじります。甘みと酸味がスモークをやわらげ、次の一口が進みます。

この塩には、サル・デ・グサノと呼ばれるものが使われます。乾かしたグサノを唐辛子や塩とともに挽いた、独特の風味を持つ調味料です。テキーラで塩とライムを合わせるのと同じ役割を、メスカルではこの組み合わせが担っています。

カクテルで楽しむ

スモーキーな香りは、柑橘との相性がとくに良く、カクテルでもよく映えます。テキーラで作る定番を、メスカルに置き換えるところから試すのが分かりやすい方法です。

マルガリータをメスカルで作れば、燻したような香りが加わります。グレープフルーツで割ればパロマ、ジンジャーエールとライムを合わせればミュールになります。いずれも、テキーラで作ったときとは別の表情になります。

三崎港で飲み比べる

メスカルは品種や産地による違いが大きく、文章だけでは伝えきれない部分があります。神奈川県・三崎港のMEZCAL LOVEは、さまざまな産地や品種をそろえたメスカル専門のダイニング&バーです。複数の品種を並べて飲み比べれば、ここまで読んだ違いをその場で確かめられます。

厳選メスカル

オアハカの蒸留所から届いた、手作りのメスカルをご紹介します。土窯由来のスモークと、アガベの品種ごとに異なる個性をお楽しみください。

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