テキーラについて

メキシコのソウルリカー、『テキーラ』
本物のテキーラを飲んだことがありますか?

テキーラサンライズやマルガリータでお馴染みの、メキシコを代表する蒸留酒「テキーラ」 度数の高い「強いお酒」という印象が先行し、日本ではまだ種類も消費量も限られています。 その印象を覆す味わいが、確かにあります。

テキーラとは?

テキーラとは、ブルーアガベを原料に、メキシコの原産地呼称で認められた地域で造られる蒸留酒です。ハリスコ州を中心とする5州の指定地域で生産され、メキシコ公式規格(NOM-006)の基準を満たしたものだけが「テキーラ」を名乗れます。アルコール度数は35〜55%の範囲で定められており、日本で流通する製品の多くは38〜40%です。

アグアスカリエンテス Baja California Baja California Sur Campeche Chihuahua Chiapas Coahuila Colima Distrito Federal ドゥランゴ ゲレロ グアナファト Hidalgo ハリスコ メヒコ ミチョアカン モレロス ナヤリット Nuevo León オアハカ プエブラ Querétaro Quintana Roo シナロア サン・ルイス・ポトシ Sonora Tabasco タマウリパス Tlaxcala Veracruz Yucatán サカテカス ハリスコ ナヤリット グアナファト ミチョアカン タマウリパス 州全域が対象:ハリスコ 一部の自治体が対象:ナヤリット、グアナファト、ミチョアカン、タマウリパス

地図データ: Natural Earth

その中心が、ハリスコ州と州都グアダラハラです。テキーラもまた、この土地の文化とともに育まれてきました。

マリアッチのふるさと

ハリスコ州は、ユネスコ無形文化遺産にも登録されたメキシコの伝統音楽マリアッチの発祥地です。ソンブレロの楽団が奏でるあの陽気な音楽と、テキーラは同郷ということになります。

チャレアーダと呼ばれる伝統的な馬術競技の本場でもあり、音楽も馬術もお酒も、この土地の誇りとして受け継がれています。

テキーラの発祥と歴史

テキーラの起源には諸説あり、いずれも言い伝えの域を出ません。一説には、この地方に暮らすナワトル語を話す先住民によって見出されたと言われています。落雷を受けたアガベの幹に数日後、樹液が溜まっているのを見つけて口にしたところ、粗いながらも発酵していた。今で言う「プルケ」です。

その後、蒸留の技術が伝わり、テキーラの原型となるアガベの蒸留酒、メスカルが造られるようになります。一般には、16世紀にスペイン人が銅の蒸留器を持ち込んだことがきっかけとされていますが、伝来の経路には諸説あります。

アルコール度数が高く独特の癖のあるお酒でしたが、酒飲みというのは万国共通で「強いもの」「癖のあるもの」を好むもので、ハリスコ州中の酒場でテキーラ村の蒸留酒として知られていきました。

名前の由来

テキーラという名前の由来にも、諸説あります。

ナワトル語「テキラン」説

有力なのは、ナワトル語の Tequillan(テキラン)に由来するという説です。「切り取られたものがたくさんあるところ」を意味し、アガベの生育地に接した収穫物の集積場所を指したと考えられています。これがハリスコ州の地名「テキーラ」となり、その土地で造られる蒸留酒の名になりました。ほかに「働く場所」を意味する語に由来するという説もあります。

「テキーラ焼酎」が縮まった説

酒場での注文が短くなっていったという言い伝えもあります。このお酒を樽に積んで行商したのはラバ引きたちで、やがて客のほうから「お前のテキーラ村のメスカル焼酎を持ってこい」と注文が入るようになり、それが「テキーラ焼酎」、さらに「テキーラ」と縮まっていったというものです。スペイン語の流れで言うとこうなります。

"Tráeme Aguardiente vino-mezcal de Tequila" テキーラ村のメスカル焼酎を持ってきてくれ ↓ "Tráeme mezcal de Tequila" テキーラのメスカルをくれ ↓ "Tequila" テキーラ

テキーラ村で造られるアガベ蒸留酒は、流通が広がるにつれて産地名で呼ばれるようになり、やがて「テキーラ」という酒名として定着したとされています。

メキシコ各地のお酒

テキーラはハリスコ州を中心に造られますが、メキシコには州ごとに個性あるお酒があります。原料も土地によってさまざまで、アガベのほか、砂漠に育つ植物やサトウキビを使うものもあります。いずれも産地と結びつき、原産地呼称で守られているものが少なくありません。

名称 主な産地 原料・特徴
Tequilaテキーラ ハリスコ州 ブルーアガベの蒸留酒。このページで紹介するお酒
Mezcalメスカル オアハカ州 アガベの蒸留酒。土窯で蒸し焼きにする伝統製法によるスモーキーな風味
Bacanoraバカノラ ソノラ州 アガベの蒸留酒。メスカルのエスパディンと同じ品種を使う。長く製造が禁じられていた
Raicillaライシージャ ハリスコ州西部 テキーラと同じハリスコ州で造られる、ブルーアガベを使わないアガベの蒸留酒。2019年に原産地呼称を取得
Sotolソトル チワワ州 チワワ砂漠に育つダシリリオンの蒸留酒。アガベとは別の植物
Charandaチャランダ ミチョアカン州 サトウキビの蒸留酒。ラムに近いが、規格上は独立した区分。2003年に原産地呼称を取得
Pulqueプルケ イダルゴ州など中央高原 アガベの樹液を発酵させた醸造酒。蒸留はしない、テキーラ以前からの伝統飲料
Xtabentunシュタベントゥン ユカタン州 蜂蜜とアニスから造るリキュール。マヤの伝統に由来する

※産地は代表的な州です。メスカルはオアハカ州を含む複数の州、ソトルはチワワ州・コアウイラ州・ドゥランゴ州が原産地呼称の対象となっています。

同じアガベを使っても、造られた土地と従う規格が違えば、名前が変わります。ソノラ州のバカノラ(NOM-168)がメスカル(NOM-070)と呼ばれないのはそのためです。

メスカルと呼ばれた酒、呼ばれなかった酒

ハリスコ州には、「メスカル」という言葉から離れて独り立ちした名前が二つあります。「テキーラ」は、かつて「テキーラ村のメスカル」と呼ばれ、産地の名前がそのまま酒名になったもの(名前の由来)。

一方、表の「ライシージャ」は逆です。「ライシージャ」とはスペイン語で「小さな根」の意味。植民地期にメスカル酒への課税を逃れるため、あえて「メスカル」と名乗らず、この別名で通したとされます。

呼ばれて生まれた名前と、呼ばれないために生まれた名前。由来は正反対ですが、どちらもいまは原産地呼称で守られた正式な名前です。

なかでもメスカルは、テキーラともっとも近い関係にあるお酒です。もともとはどちらも同じ呼び名で扱われていました。造り方の違いや品種による味わいの差は、メスカルについてでくわしく紹介しています。

お酒の3つの分類

お酒は造り方で、大きく3つに分けられます。
醸造酒 ── 発酵させたまま飲む(ビール、ワイン、日本酒など)
蒸留酒 ── 発酵させたものを蒸留して度数を高める(ウイスキー、焼酎など)
混成酒 ── お酒に香味や糖を加える(梅酒やリキュールなど)

原材料(アガベ)

テキーラの原料に使えるのは、アガベ(リュウゼツラン)の一種であるブルーアガベだけです。メキシコ公式規格(NOM-006)で品種まで定められています。アガベという植物そのものについては、アガベについてで紹介しています。

名称 ブルーアガベ。スペイン語ではアガベ・アスール、学名は Agave tequilana var. azul
分類 リュウゼツランの仲間。多肉植物であり、サボテンではありません
栽培期間 植えてから収穫まで6〜8年
株の大きさ 葉を広げた成株は、高さも幅も2メートルほどになります
使う部分 葉を落とした株の中心部(ピニャ)。直径50〜80センチ、重さは数十キロで、大きいものは100キロを超えます
増やし方 商業栽培では、親株の周りに出る子株(イフエロ)を植え替えて増やします
一生 一度だけ花を咲かせ、そのまま枯れます
1株からとれる量 100%アガベの場合、アガベ7〜8キロからテキーラ1リットルが目安。60キロのピニャなら750mlボトル10本ほどの計算になります

畑での育て方

テキーラ用のアガベは、親株の周りに出る子株(イフエロ)を植え替えて育てます。花を咲かせる前に収穫するため種子を採る機会がほとんどなく、増やし方はこの方法が中心になります。くわしくは子株で増やすか、種から育つかで紹介しています。

植え付けの間隔は畑によって異なりますが、列の間を約3メートル、株の間を約80センチほど空けるのが一例です。列の間を広く取るのは、トラクターが入れるようにするためです。アランダス周辺の赤土は水はけがよく、アガベの栽培に適しています。

収穫まで6年から8年かかるため、畑を年ごとに分けて回しながら、毎年の植え付けと収穫を続けるのが基本です。

収穫したアガベからどれだけのお酒がとれるかというと、100%アガベの場合で7〜8キロのアガベからテキーラ1リットルというのが目安です。この比率で計算すると、60キロほどのピニャなら750mlのボトルで10本前後。何年もかけて育てた一株から、それだけの量しかとれません。

ただしこれは100%アガベの場合です。糖分の49%までを他の糖類で補える製品なら、同じアガベからおよそ倍の量が造れます。100%アガベの価格が高いのは、この差によるものです。歩留まりは造り手によっても変わり、蒸留で取り出す範囲を狭くするほど、1リットルあたりに必要なアガベは増えていきます。

※いま植え付けるという判断が実るのは、何年も先です。この時間差がアガベの価格を大きく揺らし、ハリスコ州の年平均価格は2005年から2012年の1キロ1.0〜1.4ペソから2023年に24.18ペソまで上がり、2025年には7.62ペソまで下がりました。20年分のデータは何年も先を見て植えるで紹介しています。

高地と低地で味が変わる

テキーラの産地は、大きく高地と低地に分けられます。高地はハリスコ州東部のロス・アルトス地方で、アランダスなどの町があります。低地はバジェス地方で、テキーラ村やアマティタンなどの町があります。標高差はおよそ800メートル。この差が土壌や気候の違いとなり、アガベの育ち方、ひいてはテキーラの味わいにまで表れます。

  高地ロス・アルトス 低地バジェス
標高 約2,000メートル 約1,200メートル
土壌 鉄分を含む赤土 火山性の黒土
気候 涼しく、昼夜の寒暖差が大きい 温暖で日差しが強い
アガベ 大きく育ち、糖度が高くなる やや小ぶりで、早く成熟する
味わいの傾向 甘みが強く、華やかでフルーティー スパイシーで、土やハーブを思わせる

あくまで傾向です。近年は、産地よりも造り手の手法による違いのほうが大きいという指摘もあります。

標高差は、造る現場の様子にも表れます。低地の蒸留所では、建物じゅうに香りが立ちこめることがあります。高地のアランダスは気温が低いぶん揮発がおだやかで、時間をかけてゆっくりと造ることができます。

アガベの収穫工程

アガベを収穫する職人を、ヒマドールと呼びます。どの株が収穫どきかを畑で見極め、葉をどこまで深くそぎ落とすかを決めるのは彼らの判断です。同じ畑から採れたアガベでも、ここで仕上がりが変わってきます。呼び名の由来や、削る深さが味に響く理由は、ヒマドールという職人で紹介しています。

  • コアを使ってアガベの葉を落とすヒマドール

    01葉を落として根を切る株を畑から切り離す

    まず外側の葉を落とします。手にしているのがコアと呼ばれる道具です。長い柄の先に円い刃が付き、かみそりのように研ぎ上げられています。ヒマドールはこれ一本で、葉を落とし、根を切り、形を整えます。ピニャに足をかけて体重を預け、コアを打ち込んで根を切り離します。葉を広げていた株から現れるのは、人の胸ほどまである塊です。

  • 葉を落としている途中のピニャ

    02根元までそぎ落とす苦味のもとを取り除く

    残った葉を、根元まですべてそぎ落とします。葉の付け根にはワックス質の成分が含まれており、残したまま蒸すと苦味の原因になるためです。逆に深く削りすぎると、糖分を含む果肉まで落としてしまい、とれるお酒の量が減ります。切り落とされた葉は先端も縁も鋭い棘に覆われており、素手で扱えるものではありません。削る深さの差はわずか数センチ。その加減が、仕上がりの味と量を分けます。

  • 形を整え終えたピニャ

    03形を整えるピニャの完成

    最後に全体の形を整えて出来上がりです。大きさや形をそろえておくと、蒸すときに火の通りが均一になります。そぎ落とすたびに小さくなり、最後に残るのは膝の高さほど。それでも数十キロの重さがあり、抱え上げるのも人の手です。この状態で蒸留所へ運ばれ、窯で蒸されます。熟練したヒマドールは、ここまでの一連の作業を1日に100株以上こなすともいわれます。畑の傾斜、株の大きさ、運搬を分担するかどうかで大きく変わり、生産者の資料には1日350株という例もあります。

テキーラができるまで

テキーラづくりの工程は、蒸留所によって異なります。加熱ひとつをとっても、石やレンガを積んだ窯を使うところ、圧力窯(オートクレーブ)を使うところがあります。ここでは、当店で扱うテキーラを造る蒸留所の工程を例に紹介します。

銘柄ごとに味わいが違うのは、どこに手間をかけるかという造り手の判断が、工程のひとつひとつに表れるからです。

蒸留所での7工程

  • オートクレーブでアガベを蒸す工程

    01アガベを蒸す糖が使える形になる

    この蒸留所では、収穫したアガベを半分に切り、圧力窯(オートクレーブ)で蒸します。アガベの糖分はそのままでは発酵に使えない形で蓄えられているため、熱を加えて分解する必要があるのです。圧力窯は、石やレンガを積んだ窯より短い時間で蒸せるのが特長です。圧力や時間の設定は造り手によって異なり、仕上がりの香りに表れます。蒸し上がったアガベは、焼き芋のように甘い香りを放ちます。

  • 蒸したアガベを搾り機にかける工程

    02搾る甘い汁を取り出す

    蒸したアガベは繊維の塊です。これを搾り機にかけ、水をかけながら糖分を洗い出していくと、甘い汁が出てきます。伝統的な蒸留所では、いまも石臼を使って搾るところがあります。この汁を発酵タンクへと移します。

  • 発酵タンクでモストを発酵させる工程

    03発酵させるアルコールが生まれる

    ここでは搾った汁(モスト)を発酵させます。数日かけて糖分がアルコールに変わり、ビールほどの度数になります。自然発酵にこだわる蒸留所、秘伝の酵母で発酵させる蒸留所など、蒸留所ごとのさまざまな発酵手法がテキーラの個性を深めます。香りの方向性は、この段階でおおよそ決まります。

  • 一回目の蒸留を行う蒸留器

    04一回目の蒸留原酒ができる

    蒸留は、アルコールを作る工程ではありません。発酵でできたアルコールを集めて濃くする工程です。留出液は、時間とともにアルコール度数も香りの成分も変わっていきます。最初に出てくる部分と最後に出てくる部分を分け、中間部分を取り出します。この中間部分をコラソン(corazón=心臓)と呼びます。どこで切り替えるかは造り手の判断で、長年の経験がものを言います。取れる量は減りますが、雑味のない味わいはここで決まります。取り出した液体のアルコール度数は、この時点で24%ほどです。

  • 二回目の蒸留を行う蒸留器

    05二回目の蒸留と加水ブランコができる

    二回目の蒸留でも、同じようにコラソンだけを残します。アルコール度数はここで55%ほどまで上がります。この蒸留所では二回蒸留で仕上げますが、蒸留の回数や留出液を切り分ける位置は造り手によって異なり、香味を大きく左右します。最後に水を加えて度数を調整すると、ブランコの完成です。この蒸留所では38度に仕上げます。ここから先、樽に入れるかどうかで種類が分かれていきます。

  • オーク樽で熟成させる貯蔵庫

    06樽で熟成させるレポサド・アネホ・エクストラ・アネホができる

    ブランコをオーク樽で寝かせます。寝かせた期間によって、呼び名が変わります。

    レポサド
    2ヶ月以上
    アネホ
    1年以上
    エクストラ・アネホ
    3年以上

    ※記載した期間は、規格が定める最低熟成期間です。

    樽で熟成させることで木由来のアロマが移り、香りと風味が増します。樽の大きさや、それまで何を詰めていた樽かによっても表情は変わります。同じ蒸留所のお酒でも、樽の選び方で銘柄の性格が決まります。

    このほかに、ブランコと熟成させたテキーラをブレンドした「ホーベン」があります。熟成期間ではなく造り方による区分のため、ここには含めていません。テキーラの種類と選び方で説明します。

  • 瓶詰めされたテキーラ

    07瓶詰めする製品として出荷される

    度数を整え、ろ過をしたうえで瓶詰めされます。ラベルには、そのお酒を造った蒸留所を示すNOM番号が必ず記載されます。

ラベルのNOM番号を読む

テキーラのラベルには、「NOM」に続く4桁の数字が印字されています。このページに出てきた規格の番号(NOM-006など)とは別物で、こちらはそのテキーラを蒸留した施設の登録番号です。

同じ番号なら、同じ蒸留所で造られたテキーラです。蒸留所と銘柄の持ち主は別であることが多く、名前のまったく違うブランドが同じ番号ということも珍しくありません。お気に入りと同じ番号のボトルを探してみるのも、ラベルを読む楽しみのひとつです。

度数の移り変わり

発酵でアルコールが生まれ、蒸留で濃くなり、最後に加水して製品の度数に整えます。

発酵を終えた時点 5〜8%ほど。ビールと同じくらいの度数です
一回目の蒸留 24%ほど。焼酎と同じくらいです
二回目の蒸留 55%ほど。加水前のウイスキー原酒と同じくらいの強さです
加水したあと 製品に合わせて調整します。この蒸留所では38度で、ここでブランコが完成します

テキーラの種類と選び方

熟成による分類

テキーラは公式規格で、熟成の有無や期間、仕上げ方によって5つに分類されています。熟成が浅いものほどアガベ本来の風味が、長いものほど樽由来の香りとコクが際立ちます。

Blanco(ブランコ)

シルバー、プラタとも呼ばれます。蒸留後に樽熟成を行わないタイプです。規格では、オークまたは樫の容器で2ヶ月未満であれば熟成させてもブランコを名乗れます。アガベの香りと味わい、そしてアガベを蒸したときの香味がもっとも素直に残っており、これぞ「地テキーラ」という個性を楽しめます。造り手の技量がそのまま表れるタイプでもあります。

Joven(ホーベン)

オロ(スペイン語で「金」の意味)、ゴールドとも呼ばれます。ブランコに樽熟成させたテキーラをブレンドしたもの、またはブランコをカラメルなどで着色したものを指します。その名のとおり金色を帯びた製品が中心で、手に取りやすい価格帯のものが広く流通しています。
なお、メスカルでは同じ「ホーベン」がテキーラのブランコにあたる区分(熟成なし・無色透明)を指します。同じ言葉でも、テキーラとメスカルでは意味が異なる点にご注意ください。

Reposado(レポサド)

スペイン語で「休ませた」という意味で、2ヶ月以上のあいだ樽で寝かせたものです。樽材はオークと定められていますが大きさに規定はなく、大樽でおだやかに寝かせる造り手もあれば、小樽でしっかり樽の個性をまとわせる造り手もあります。アガベの風味を残しながら角がとれ、まろやかな味わいになります。

Añejo(アネホ)

スペイン語で「熟成させた」という意味で、600リットル以下のオーク樽で1年以上寝かせたものです。樽が小さいぶんお酒と木が触れる面積が大きく、バニラやカラメルを思わせる甘い香りが加わります。色は琥珀色を帯び、コクのある味わいに変わります。

Extra Añejo(エクストラ・アネホ)

600リットル以下のオーク樽で3年以上熟成させた、もっとも長期の区分です。色は濃く、ウイスキーやブランデーに通じる複雑な香りを持ちます。生産量が限られるため高価格帯の製品が中心です。造り手が家族や祝いごとのために取り置くのも、こうした長期熟成のものです。

市販の銘柄はどこにあたるか

店頭やオンラインで見かける銘柄も、すべてこの5つの区分のどれかに入ります。「ホセ・クエルボ」「サウザ」「1800」「パトロン」「ドン・フリオ」といった名前を目にしたとき、その横に書かれた Blanco、Reposado、Añejo という語が、樽で寝かせた期間を示しています。

「同じ銘柄のレポサドとアネホは何が違うのか」という疑問は、ここまでの説明で解けます。主な違いは、どれだけ長く樽で寝かせたかです。長いほど色が濃く、樽由来の甘い香りが増し、価格も上がる傾向があります。ただし同じ銘柄でも、製品によって原酒やブレンド、仕上げ方が異なる場合があります。

ただし、熟成の長さは品質の順位ではありません。アガベの風味を楽しむならブランコ、樽の香りを求めるならアネホ、という選び方になります。

「アネホ」は銘柄名ではありません

ラベルには銘柄名と熟成区分が並んでいますが、区分のほうが大きく書かれていることがあります。そのため、お店で見かけた一本を「アネホ」という名前のお酒だと思ってしまうことがあります。

アネホもレポサドも、造り方を示す言葉です。どの造り手も同じ語を使うので、同じ「アネホ」でも銘柄が違えば中身はまったく別のものになります。

気に入った一本をまた飲みたいときは、区分ではなく銘柄名を控えておくと確実です。

原料による分類

熟成による分類とは別に、原料をどこまでアガベでまかなうかによる区分があります。この2つは別の軸です。ブランコにもレポサドにもアネホにも、それぞれ100%アガベのものとそうでないものがあり、熟成の長さと原料の区分は連動しません。ラベルでは熟成区分(Blanco、Reposado など)とは別に、原料の表示を確認します。

100%アガベ

発酵に使う糖分がすべてブルーアガベ由来のものです。ラベルに「100% de Agave」または「100% Agave」と表示することが義務づけられています。アガベの風味がはっきりと感じられ、日本酒でいえば「純米酒」にあたる位置づけです。「プレミアムテキーラ」と呼ばれるのも、主にこの100%アガベのテキーラです。

アガベ以外の糖分を使わないため、原料そのものの風味が味に出ます。産地や造り手による違いが表れやすいのはこのタイプで、ストレートで味わうならこちらが向きます。その分、必要なアガベの量も多くなり、価格に反映されます。

それ以外のテキーラ

アガベ由来の糖分が51%以上あれば、残りを他の糖類で補うことが認められています。ラベルには単に「Tequila」とだけ表示されます。かつては「ミクスト(Mixto)」と呼ばれましたが、現在は公式な分類やラベル表記には用いられません。

ラベルで見分ける

判定は簡単です。ラベルに「100% de Agave」または「100% Agave」とあれば100%アガベ、なければアガベ以外の糖類を使った製品です。

「ブルーアガベ」という表示は品種名です。100%を意味しません。

表示は正面ではなく、背面や肩の部分に小さく記されていることがあります。また同じブランドの中に、100%の製品とそうでない製品が並んでいます。

サウザ 「ブルー」が付く製品は100%アガベ。「シルバー」「ゴールド」には表記がありません
ホセ・クエルボ 「トラディショナル」以上は100%アガベ。「エスペシャル」には表記がありません
1800 100%アガベ。クエルボと同じ一族が展開する別ブランドです

※2026年8月時点の各社公式情報にもとづきます。製品構成は変更されることがあります。

テキーラの価格を左右するもの

同じ棚に並ぶテキーラでも、値段は一本ごとに大きく違います。その差は、おもに次の4つで決まります。

原料の区分 もっとも大きい差です。100%アガベと、ほかの糖類を併用できるものとでは、製造に必要なアガベの量が違います
熟成 樽で寝かせる期間が長いほど、保管の期間と熟成中の目減りが価格に反映されます
容量と流通 ボトルの容量のほか、現地で買うか輸入品を買うかで、税や輸送費が変わります
ブランドと生産量 ブランド、生産の規模、限定品かどうかでも大きく変わります

購入する際の最も重要なポイント

まず確かめるのは、前述のラベルの「100% de Agave」表示です。そのうえで難しいのが、味の見極めです。銘柄ごとの個性が大きく、辛口のものから重たく感じるものまでさまざまで、同じ熟成区分でも造り手によって味わいは変わります。気になった銘柄を飲み比べて好みを探すのが確実です。

ラベルの「SUAVE」

ラベルに「SUAVE」(スペイン語で「なめらか」)と書かれたものを見かけることがあります。公式な分類ではなく、造り手が飲み口のやわらかさを示すために使う表記です。三回蒸留やろ過など、口当たりを整える工程を経たものに付けられることが多いようです。

その先にあるメスカル

ここまで読まれた方は、100%アガベの表示を確かめ、熟成の長さは品質の順位ではないと理解されたはずです。その目で選べるようになると、次に見えてくるのがメスカルです。

テキーラに使うブルーアガベは、6〜8年で収穫できます。一方メスカルには野生の品種も使われ、テペシュタテのように野生株では収穫まで25〜35年とされるものがあります。加熱も、伝統的な造りでは圧力窯ではなく地面に掘った土窯で、薪と焼石を使って焼き上げます。

同じ価格帯でも、そこに費やされた年月と手間はまったく違います。

品種による味わいの違い、土窯が生むスモーキーな香り、造り方による区分については、メスカルについてで紹介しています。

実際に飲み比べるなら、神奈川県・三崎港のMEZCAL LOVEがあります。さまざまな産地や品種をそろえたメスカル専門のダイニング&バーです。

テキーラの楽しみ方

本場での飲み方

本場の定番スタイルは、塩とライムを添える飲み方です。ライムを親指と人差し指の付け根に塗って塩をひとつまみ乗せ、それを口に含んでから、カバジートと呼ばれる細長いグラスのテキーラを一息に飲みます。塩はコリマ産の「サル・デ・コリマ」がよく使われます。

合わせるならブランコがおすすめです。意外に思われがちですが、ブルーアガベの香りは、熟成させたものよりブランコのほうがはっきり感じられます。レポサドやアネホは、樽由来のコクを楽しむタイプです。

付け合わせには、サングリータもおすすめです。トマトやオレンジの果汁に唐辛子を効かせたチェイサーで、店によっては頼まなくても一緒に出てきます。瓶入りの製品もありますが、自家製を出す店はこだわりの店です。ライム果汁・テキーラ・サングリータの3つのグラスを並べて、メキシコ国旗の緑・白・赤に見立てるバンデラ(旗)という楽しみ方もあります。

一息に飲むだけが作法ではありません。少量を注いで、香りを確かめながらゆっくり味わうのも良い飲み方です。100%アガベのテキーラは、むしろこちらのほうが原料や樽の個性が伝わります。

飲み方いろいろ

気分や場面で選べるよう、代表的な飲み方をまとめました。

ショット 塩とライムを添える本場のスタイル(前述)
ストレート 少量を注ぎ、香りを確かめながらゆっくり味わう。100%アガベのプレミアムテキーラは、この飲み方がいちばん個性が出る
テキーラハイボール ソーダで割ってライムを搾る。すっきりして食事にも合わせやすい
パロマ グレープフルーツの炭酸で割り、塩を添える。本場メキシコでいちばん親しまれているカクテル
マルガリータ ライム果汁とオレンジリキュールを合わせてシェイクする世界的な定番。グラスの縁に塩を付け、ブランコで作るのが基本
トミーズ・マルガリータ オレンジリキュールの代わりにアガベシロップで甘みを付ける、マルガリータの現代版。100%アガベのテキーラで作るのが流儀
テキーラサンライズ オレンジジュースで割り、グレナデンシロップを沈めた朝焼け色のカクテル
シャンギロンゴ コーラやジンジャーエールなど、甘い炭酸で割るだけの気軽な飲み方
テキーラ村のバタンガ

テキーラ村で最も古いバー「ラ・カピージャ」には、バタンガという名物カクテルがあります。塩を付けたグラスにライムを搾り、ブランコを注いでコーラで満たすだけ。ただし現地の流儀では、コーラはサトウキビの砂糖で造られるメキシコ製の瓶コーラ(その甘みから「世界一おいしいコーラ」とも呼ばれる、通称メキシコーク)を使い、ライムを切ったナイフでそのままかき混ぜます。

厳選テキーラ

メキシカントウキョーが選び抜いたプレミアムテキーラは、「強いお酒」という印象を覆すまろやかな飲み口です。バジェス地方アマティタン地区の蒸留所から、ブランコ、レポサド、アネホを取り揃えています。

Amazonストアで探す
FBP2 日本メスカルテキーラ協会 Juntos Por Oaxaca 国内初メスカル専門バー MEZCAL LOVE Diner ダイナー
のんだあとはリサイクル